2022年03月12日 竹花加奈子さんが作曲されたチェロ曲発表リサイタル

  日時:2022-3-9  19時〜21時
  場所:東京福音ルーテル教会市ヶ谷ホール(定員360名)
 竹花加奈子さんは、かってビバホールコンクールに入賞されたこともある方ですが、今は演奏だけでなく、チェロ曲の作曲家として、日本を代表するまでになっておられる方です。
 ご自身が作曲された曲の発表リサイタルは、素晴らしいものでした。 演奏自体もそうですが、あれだけの曲を作曲なさる方が、日本にいらっしゃると言う事に感心し、驚きました。
 今回の発表なさったリサイタルの曲目は次の通りです。

   1. 無伴奏チェロのための「蓬莱橋」
     美しい蓬莱橋を見た感動が曲になったものです。
   2. チェロソナタ第2番「径」
     人のたどる道のりを、3楽章からなるソナタで表現
   3. ピアノ独奏曲「3つのポエム」
     ご自身の感じたままが、これはチェロではなく、ピアノ曲になっています。
   4.  最後は、「音絵巻『源氏物語』」です。
     源氏物語の1巻から12巻までを、絵巻物で描くがごとくに、音絵巻として、
     ピアノ伴奏付きのチェロ演奏で表現されたものです。 
     個々の曲、それぞれの発想が素晴らしく、日本人が日本を題材として、
     あれだけのチェロ曲を作曲された事に、感動しました。 源氏物語は次の曲からなります。
     第1曲 桐壺帝  第2曲 桐壺更衣  第3曲 光源氏
     第4曲 空蝉   第5曲 夕顔              第6曲 紫上
       第7曲 朧月夜  第8曲 葵上    第9曲 六条御息所
     第10曲 藤壺中宮  第11曲 明石姫君      第12曲 女三宮
 源氏物語をお読みになった方は、ご存知ですが、読み方の例をいくつか紹介しますと、第6曲、7曲は、むらさきのうえ、あおいのうえ、と読みます。 また第9曲は、ろくじょう の みやすどころ、となります。 それぞれの物語をご存知の方がこれ等の曲をお聴きになると、「うーん!」と、納得なさるようなお気持ちをお感じになるかも知れません。 あの朗々としたチェロの音色と繊細な表現に感動するのは、恐らく私だけではないでしょう。
 昔の有名な物語を、音や曲で表現する。 ちょっと面白い試みだとお思いになりませんか? 
 『また、養父市にも来てくださいね。』とお声を掛けると、『わー、行きたいなあ、いつか行けると良いなあ❣️』とお話しされていました。ご主人ともお会いして、井戸端会議をしてきました。竹花加奈子さんの益々のご活躍、ご発展を期待しています。


 ビバホールの入口の横に、チェロを抱えた井上頼豊先生の晩年の肖像画が掛かっているのをご存じでしょうか? 井上頼豊先生はチェロ奏者として、また指導者として世界に知られた方ですが、竹花加奈子さんは、幼少の頃からずーっとその井上先生のご指導を受けられ、『今の私があるのは、井上頼豊先生のご指導のお蔭だ』と仰っています。
そして、『ビバホールのあの肖像画をもう一度見に行きたい』とも、仰っています。
 彫金作家であるお母様の竹花万貴様から日本や西洋の「芸術への敬愛」という大切なものを受け継がれ、記憶・風景・物語・写真・美術品など、様々なものとの対話を通してオリジナルな作曲を数多く手掛けられています。 今回の作品も、そのような中で作られてきています。 因みに「源氏物語」は2019年に完成しています。

岩浅紀久 記